
初めて見たのはいつだったでしょうか……。
多分初見で魅了され、ディスクを買って時々、見返しています。
最近見返してみて、今作は福祉業界の人間関係について考えるきっかけになるのでは……と思いました。
【映画】インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアのあらすじ(物語の概要)]
ある夜、記者によるインタビューが始まる。話し手は、青白い肌のミステリアスな青年・ルイ。
ルイは語る。18世紀末、妻と娘を失い絶望していたルイは、吸血鬼レスタトと出会う。
ルイに惹かれたレスタトは、永遠を共に生きる伴侶とするため、吸血鬼へと変える。
ヴァンパイアとして生きることになったルイ、しかし新たな命は過酷だった。血の欲求に忠実なレスタトは人を殺すことを快感とすら感じているのに対し、ルイは嫌悪と良心の呵責を捨てきれなかった。
レスタトとルイ、同じ命を抱く二人の道はやがて分かたれることになるのだが……。
1.インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア をケアマネ視点で視る:同じなのに一緒にいられない……吸血鬼と同じ悲しみを抱く私達。
今作は、今や吸血鬼物の古典的名作、だと思います。
色々捉え方はあるとは思いますが、私は今作をルイとレスタトという同質の二人の生き方のすれ違いの物語、だと改めて思いました。
同じヴァンパイアという命、生き方、それなのに、ずっと一緒にいることはできなくなってしまう……。
これ、福祉業界の人間関係に、似てませんか?
福祉業界って、流動性が高い業界だと思います。
実際、私の周りでも退職・転職が頻繁に起こっています。
理由は色々あるでしょう。待遇面の違い、福利厚生の違い……ただ、一番大きい理由は、人間関係だと思います。
同じ資格、同じ仕事、同じ職場……それでも、人は辞めていく。それはどうしてなのでしょうか。
それは、関係を支えていた前提が変わってしまうからなのかもしれません。
例を挙げてみましょう。
A.同期に入社したAさん(新卒)とBさん(中途採用)。
新卒組と転職組という違いはあったものの年が近いこともあって意気投合していた二人。
同じ部署に配属になったということもあり、励まし合いながら働いていました。
しかし数年後、Aさんは昇格し、Bさんとは上司と部下という形になってしまいました。
給料にも違いが出、以前のように関われなくなってしまった二人……。
B.相棒だったCさんとDさんの職場に新人・Eさんが入ってきたケース。
同じ事業所で長く働いている二人。
絶妙のコンビネーションで様々なトラブルも乗り越え、誰しもが認める事業所の2TOP。
そこへ、新人のEさんが入職。CさんとDさんに育てて欲しい、という法人の意図でした。
若くて吸収も早く、利用者さんからの評判もよいEさん。みるみる戦力になっていきます。
一方、CさんとDさんの関係に微妙な変化が。
Eさんを厳しく、時に優しく指導するCさんに対して、Dさんは疎外感を抱いてしまい……。
まぁ、こんな例を挙げるまでもなく、人間、生きていたら色々あります。結婚、子育て、病気、老い……そして、親の介護etc…。
同じ資格・同じ職場・同じ相手でも、ずっと同じ環境でい続けられるとも限らない。
ずっと同じ条件でいられるとは限らないのです。
・自分に合った環境って、大事。
・でも、ずっと同じじゃいられない。
・変化に対応できる柔軟さが、もっと大事かも。
2.インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア をケアマネが観る:ストーリー以上。ヴァンパイアを鑑賞する快楽。
今作、ストーリー全体を通してルイとレスタトの生き方の違い、を描いているとは思いますが、中盤に大変重要な第三のヴァンパイアが登場します。
先ほどの例でいうなら、Eさんのような存在。クローディアという少女のヴァンパイアです。
彼女の出生のいきさつ、その結末は本編に譲りますが、中盤の大半のエピソードはクローディアが中心。
でも私はそこにあまり惹かれません。だって、私にとって今作はヴァンパイア、もっと言えばルイとレスタトを愛でる作品だから。
ルイとレスタトの魅力は枚挙に暇がありません。
私が最も惹かれるのは以下の二点。
・ルイの苦悩
人を糧とすることに罪悪感を捨てきれないルイは、ヴァンパイアとしての命を苦痛・苦悩とせざるを得ません。
インタビュアーも憧れる超人的な力を持っているにもかかわらず苦しみつつ生きている姿が、とても魅力的。
・レスタトが血を吸う時の音
ちょっとマニアックですが、すごくいいんです!
よく熟れた桃をかぷっと齧り、あふれる果汁を口に含もうとするような音、五感に直接的に訴えてくる……甘美。
こういう、ストーリーではなく作品そのものが持っている魅力に囚われる感じ……好きです。
これ、いわゆる雰囲気系の映画に近いものがありますね。
今作は雰囲気、ではなく登場人物の魅力が段違いに輝いている作品なのです!
私のもう一つの大好きなヴァンパイア物、そして雰囲気系で私が対好きな映画です。
イノセントホラーと大学生達による京都の緩い夜……全然違うけど、どっちもその作品にしかない空気感に満ちた作品です!
3.【まとめ】同じ、だけど違う私達。
今作は誰かと同じ場所にい続けることの難しさと、ヴァンパイアの美しさ・苦悩を同時に味わえる作品なんだと思います。
彼らの、その苦悩する姿を含めた美しさは本編で直接見てもらうとして……どうして人が生きる社会というのはこんなにも色々な苦しみが潜んでいるのでしょうかね。
みんな、そんなもの望んでないのに。
みんな、楽しく、嫌なこともなく過ごしたいだけなのに。
きっと、一人一人が違うから、ぴったり来た時の心地よさ、ピースが合わなかった時の居心地の悪さ、どうしようもなさがあるんだと思います。
ヴァンパイアも人間……生き物としては同じだけど、私達はそれぞれが全く別の命であるということを心に留めておくべきではないでしょうか。
考え方も、行動も、大切なものも、好きなものも嫌いなものも……まったく同じ存在なんていません。みんな違うのです。
だからうまくいかなくて当たり前。
違う、だけど同じ大切な命……。それはルイとレスタトも、私達人間同士も、同じ。

さて、映画のラスト、ルイとレスタトは分かり合えたのでしょうか……。ぜひ、見届けてみてください。
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夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
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