
『その選択に、人生をかけますか?』
臆病者と罵られながらも信念を貫こうとした宮部と、思い出の詰まった我が家への愛着を譲らなかった、ある高齢の男性。
何かを得るために何かを失う、介護現場の冷酷な事実。納得のいかないまま施設入所となったある事例を通じ、コストに見合う幸せとは何か、を考察します。
【映画】永遠の0あらすじ(物語の概要)
司法試験浪人の健太郎(三浦春馬)と姉の慶子(吹石一恵)は、ある日、長年慕ってきた祖父・賢一郎が実の祖父ではないことを知らされる。
実の祖父は、終戦間際に特攻で戦死した海軍航空兵・宮部久蔵。
二人は実の祖父の足取りを追って、存命の戦友達を訪ね歩くが、そこで耳にしたのは予想外の言葉だった。
「海軍一の臆病者」「何よりも命を惜しむ男」
しかし、調査を進めるにつれ、そんな評判の奥にある宮部の生き方が垣間見える。
臆病者、と罵られた宮部はなぜ特攻を選んだのか。そして、二人がたどり着いた衝撃の真実とは……。
映画『永遠の0』公開まであと2日★
— 映画『永遠の0』 (@eienno0_movie) December 18, 2013
もう少し!もうすぐ!!日本全国で日の目を見ることに(`_´)ゞ #永遠の0 pic.twitter.com/her1w5VCrj
1.永遠の0をケアマネ視点で視る:信念を貫く、ということのコスト
さて、宮部の過去を調べる中で思いもよらない自分達のルーツにたどり着く健太郎と慶子ですが、この作品を見てつくづく思うのは、宮部の強さ。
宮部は最終的には特務士官にまで昇進します。操縦の腕は超一流、だが彼は勇猛果敢に戦うことはなく、生き延びることを優先していました。
それでも、宮部は特攻を選んでしまいます。一見、心が折れたみたいに……。
その理由についてはここでは述べませんが(めっちゃネタバレになるので)、この仕事をしていると、信念を貫く、ということのいいところ、そして弊害もたくさん見てしまいます。
ちょっと事例を見てみましょう。
絶対に家に帰りたかったAさんの場合。
・Aさんは若い頃に結婚・離婚した後、一人で仕事に邁進してきた。
・65歳を過ぎても仕事を続けてきたが、ミスが目立つようになり退職。
・しかしAさんは自分の仕事のミスを認めず、会社側の不当解雇であると憤っていた。
・Aさんの物忘れは生活にも支障をきたし始め、ごみの出し方がきっかけで地域包括支援センターが介入。
こういうきっかけで福祉の介入が始まるのはよくあること。
そして、Aさんのようなパーソナリティの方って、支援が入りにくいんですよね……。
・ヘルパーさん達の試行錯誤によりAさんの支援が何とか定着。
・そんな時、ヘルパーが訪問した際、倒れているAさんを発見。救急搬送。
・脱水による意識低下であったが治療の間にADLが低下。
・病院からの自宅退院は厳しい、介護老人保健施設(最大3か月入所してリハビリに取り組む施設)への入所が妥当、という病院の相談員さんのアドバイス。
・しかしAさんは断固退院を主張。
・致し方なくケアマネが相応の支援体制を整えた上で退院。
・しかし数週間後、転倒事故、大腿骨骨折にて再入院。ADLはさらに低下。
・なおもAさんは在宅復帰を主張したが叶わず、納得できないまま有料老人ホームへの入居となる。
宮部は名誉と引き換えに信念を貫こうとしました。
Aさんは、リスクと引き換えに数週間の自宅での生活を得ました。
宮部は、Aさんは幸せだったのでしょうか。それは私達には分かりません。
ご本人達にしか分かりません。
コストに見合う幸せがあったことを、ただ祈るばかりです

・人生、トレードオフ。
・何かを得れば何かを失う、たとえ介護の現場であっても。
・最後は、幸せは自分だけのもの、かも。
宮部の信念を、生き様をその目で。
2.永遠の0をケアマネが観る:伝わるためには、伝えることが必要
皆さん、親御さんのこと、お爺ちゃん、お婆ちゃんのことをどれほどご存じですか??
ケアマネの仕事に、インテークというものがあります。
これから支援を通じて共に関係を構築していくため、まずご本人のことを私達が教えていただく段階です。
もちろん、今のお困りごとや生活上の問題が中心なのですが、その一環で生活歴、生い立ち、と言った事柄も伺います。
そんな時、ご家族から「へぇ、そうだったんだ」「初めて聞いた」というお声が漏れることは決して珍しくありません。
それは、言うまでもないと思われていたこと、言いたくなかったこと、かもしれません。
しかし、両親、祖父・祖母の方々が送ってこられた人生の一部であることもまた事実。
身近であればあるほど目の前のことに焦点が合い、過去になかなか着目しないものだと思います。
支援の出発は知ること……時々、そう思うことがあります。
皆さんも身近なご高齢の方の若い頃のお話を聞いてみられては??
海の特攻・回天の知られざれる歴史と真実、交わらない想いが美しい悲劇に至る物語……心の深淵に触れる二本です。


3.【まとめ】見えない『真実』に触れる、ということ
今作はただの戦争映画、特攻を描いたもの、もっと言えば特攻を美化したもの、ではありません。
今作は、時代に流されてしまう事実の存在、意志を貫くコスト、そして人間の想いの尊さを描いているのだと、私は思います。
宮部久蔵が不名誉を背負ってまで守りたかったもの。
私が現場で出会った、周囲を困惑させてまで自分の生き方を貫こうとした方々。
彼らの生き方は不合理・不条理・頑固……とネガティブに捉えられるかもしれません。
しかし、そうすることにもまた理由があったはず。そして、それは知ろうとしなければ知ることのできないもの、です。
事実は記録されますが、その奥にある本当の気持ちは、そう簡単には伝わらない。
伝えようとしないと伝わらない。
だからこそ、より身近な人の話こそ、に耳を傾けるべきなんだと思います。
永遠の0、こんな人におすすめ!
・特攻に関心がある方。
・時を超えた想いを感じたい方。
・家族の過去に思いをはせてみたい方。

生き残ることにこだわり続けた宮部が特攻していった理由、その先にあった真実……ぜひ、その目で確かめてください。
ハンカチ必須ですよ、ほんと。
永遠の0 を今すぐ見たい方へ。
永遠の0 をお手元に置いておきたい方へ
信念を貫ける環境を探している方へ

夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
▼ 詳しいプロフィールは以下。▼



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