モールス×トレードオフ:家か施設か? 正解のない選択。

夕璃
夕璃

何かホラーを見たい……と思い、レンタル屋さんで見つけたのが今作。
初見で一気に虜になりリピート。最近見直してみて、どちらも正しい、だからどちらにも味方できない、という、ジレンマを思い出しました。

映画】モールスの概要(あらすじ)

寒さと雪に覆われた田舎の町、学校でのいじめに悩む少年・オーウェンは、熱心なキリスト教徒である母と暮らしていたが、孤独に心を沈める日々を送っていた。

ある日、隣家に引っ越して来た少女・アビーと知り合う。オーウェンは、自分と同じように孤独を抱えるアビーのミステリアスな雰囲気と可憐さにどうしようもなく惹かれていく。

孤独な心が惹かれ合うように距離を縮める二人、やがて壁越しにモールス信号で合図を送りあうようになる。やがてアビーの正体を知ったオーウェン、そして平穏で退屈だったはずの町に、似つかわしくない残酷な連続猟奇殺人事件が起き始めて……。


1. モールスをケアマネ視点で視る:家か施設か、トレードオフの決断

物語の中盤から後半にかけて、オーウェンはアビーの存在をかけて、ある大きな決断をすることになります。
それは、それまでの人生との決別を意味するのですが……。

介護の現場でも、何かを得るために何かを失う、という場面に立ち会うことがあります。

事例で考えてみましょう。

Aさん:80代後半の男性。独居。最近足腰が弱ってしまい、転倒事故が増えてきました。
認知機能も低下し、家での一人暮らしには色々な支障が……。
それでも、妻を見送り、子供達の成長の思い出が刻まれた家に愛着を感じています。

Bさん:Aさんの娘。遠方に住んでいる。子育ては落ち着いてきたものの、仕事や家庭のことで多忙。
Aさんのことを心配しており、転倒による大きな事故を心配している。

こういう場合、たいてい、こういう問題が生じます。
施設か、家か……。

この決断は究極の選択両立するということはあり得ません

どちらも正しい、どちらも間違ってない、でも何かを得たら何かを失ってしまう……という場面で支援者としてどうするべきか……いつも悩みます。

答えのないことでありながら、現実としては答えに至らねばならない大変困難な状況

そんな中で私達ができることって、二つかなと思います。

・徹底した情報提供:納得できる選択のためには、それに足りる情報が必要。
・一緒に考えること:ケアマネの意見はいったん置いておいて、まずは一緒に考える。

介護という面ではケアマネの方が経験値が高い面も多いでしょう。
客観的に見て、家で看れるか、施設に頼らざるを得ないのか、なんとなく見えることだってあります。

ただ、その決断はあくまでご本人・ご家族のもの

それは納得できる決断でなくてはなりません。


納得のいく決断のためには、ケアマネが見える在宅介護の継続の可否、というものよりももっと大きな、人が人生をどこで終えるのか、という重大すぎる選択が必要なのです。

私達ができることは、あらゆる情報をもとに一緒に考えること、悩むこと、そしてその決断に寄り添うこと……、そう思います。

ドラマ モールス をケアマネが考察したイメージ図。アビーとオーウェンの終わりなき旅の始まり。
アビーとオーウェンの行きつく先は……。 Image by 夕璃

ケアマネ・夕璃の思ったこと
・悩ましい選択は、ある
・どちらも叶えることはできない。
・どんな決断でも、それは人生の大切な選択。

配信がない……なので、宅配レンタルが最も確実な視聴手段。
※初回30日間は定額プランが無料。

2.モールスをケアマネ視点で観る:生きづらさに巻き込まれる、ということ

この作品の最も大きな特徴は、吸血鬼をダークヒーローではなく、生きづらい命として描いているという点。
そう、吸血鬼は、もとい、アビーは生きづらいのです。

吸血鬼であるアビーは、生きるために人間のが必要。
そして外見が少女であるアビーが社会の中で生きていくためには、保護者役の大人が必要。

いじめられっ子の少年・オーウェンは、そのピュアな恋心のままにアビーとの関りを深めてしまいます。
その思いは美しいものの、オーウェンがアビーと生きていくということは、アビーの生きづらさにオーウェンも巻き込まれる、ということ。

アビーには年の離れた父親、と思わしき男性がいるのですが、彼のいる境遇を知るほどの視聴者の想いは複雑になっていきます。

二人が辿り着く決断は直接、見届けて欲しいですが、あのラストシーンのオーウェン、その十年後、もっと先、彼が幸せであることを祈るばかりです……。

アビーとオーウェンの関係、その補完性。
そして、あまりに重たい決断の物語……。
全然違って見える二つの作品ですが、どこかで繋がっているような気もしました。


3.【まとめ】エンディングの先、その残酷さ

今作は単なる吸血鬼映画ではなく生きづらい命と、その周辺にある普通の命を描いた作品。

イノセントホラー、というキャッチコピーなのですが、イノセント、純粋無垢なアビーとオーウェンの想いだからこそ、エンディングとその先の未来はえげつないくらい残酷

ちょっとグロイけど、ピュアとホラーが絶妙に混ざり合った今作、他のどんなホラーにもないものを秘めています。

モールス、こんな人におすすめ!
・ヴァンパイアものが好きな方
・少年のピュアさに心惹かれる方
・ちょっと変わったホラーが見たい方

夕璃
夕璃

なんかちょっと変わったホラーが見たい時、あえてもやもやしたい気持ちの時、ぜひおすすめの映画です!

モールスを繰り返し見たい方へ。
※初回30日間は定額プランが無料。

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この記事を書いた人
夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
▼ 詳しいプロフィールは以下。▼

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