恋のツキ×迷い:正解のない選択、迷いこそ、人生。

夕璃
夕璃

「一緒に迷ってあげよう!」
誰もが認める正しさか、人生最初で最後のときめきか……。主人公・ワコが悩み、選択し、その選択に向き合い続ける……今作が描くものは、迷いそのもの。
自宅に残りたい認知症の母と、安全のために施設に入ってほしい娘の事例を通して、正解のない迷いに支援者がどう関わるべきかを考察します。

ドラマ】恋のツキ 物語の概要(あらすじ)

平 ワコ(徳永えり)・31歳。勤めていた会社が倒産し今は映画館でアルバイト中。彼氏であるふうくん(渡辺大知)と同棲を続けている。すっかりときめきもなく日々の暮らしを重ね続ける二人だけど、ワコは楓君との結婚を夢見ている。だって、それが普通の幸せ、だから。


アルバイト中に出会った伊古くん(神尾楓珠)に思わず一目惚れしてしまったワコ。伊古くんは15歳の高校生。自分とは住む世界が違う、自分にはふうくんがいる、分かっている、分かっているのに、ワコは伊古くんにどうしようもなく惹かれてしまう……。


1. 恋のツキをケアマネ視点で視る:正解のない選択

この作品は、大人女子と少年の禁断の恋という、好き嫌いがはっきり分かれる設定が故に、ニッチな恋愛物、と思われがち。

しかし、今作が描いているのは人生における選択と、それに伴う哀しみと喜び、そして社会が敷いたレールの外に出ることへの恐怖にある、と思います。

31歳という年齢、これといったキャリアもない状況……ワコは結婚という世間が定める普通の幸せ、というゴールを強く意識しています。

ふうくんとの生活にときめきはない、だけど結婚というゴールのために決して失うわけにはいかない。

それは皆が普通だと思う幸せ、普通という呪いから外れてしまうことへの恐れ、ともいえるのかも。

彼女はことあるごとに「私はこれでいいんだよね」と自分に言い聞かせています。

これ、正しい選択をし続けなければならない、という大人の宿命を体現しているかのよう。

ワコの身に迫るような悩みと葛藤は、人生の取捨選択の連続を知る大人ほど共感できる本物の苦しみ、なのです。

そして介護も選択の連続

複数の選択肢があって、どっちのメリット、デメリットを検討しても答えが出ない時……ちょっと例を挙げてみましょう。

Aさんの場合……在宅か、施設か、正解のない選択。
・Aさんは70代後半の女性。ご主人を亡くしてから住宅街の一軒家に一人暮らし。
・娘のBさんは隣県、クルマで一時間半の所で現在子育て中。
・Aさんは認知症の発症をきっかけに要介護申請。ヘルパーさんやデイの利用でおおむね生活は落ち着いていた。
・転倒が目立つようになり福祉用具のレンタル、住宅改修など打てる手は打ったものの、転倒を防ぎきることはできない。
・Bさんは、近くの施設に入居してほしい、と希望しているものの、Aさんは思い出のある家に未練が。

こういう状況、よくあります。とってももどかしい状況ですよね。
総合的に考えるとBさんの希望のほうが合理的、でもAさんの気持ちもわかる……。

人生の大抵の場面がそうであるように、選択は不可逆的一度選んだら後戻りできないからこそ、人は迷い、苦しみます。

介護支援専門員は、ご本人やご家族の迷いを正解に導きたいと思います。しかし、正解なんてないのです。

大切なのは、彼らの迷いを受け止め、同じペースで考えること、ではないでしょうか。

共に悩み、共に考えること、この姿勢こそが、自己決定を尊重するという人間の尊厳に関わる支援の根幹ではないか……と思います。

ドラマ 恋のツキ をケアマネが考察したイメージ図。高級フレンチか、焼き魚定食か。究極の選択に直面するワコ。
人生は選択の連続、迷うのもまた人生。Image by 夕璃

ケアマネ・夕璃の思ったこと
・人は迷うもの。
・いつも正しい選択ができるとも限らない。
・間違ったっていいじゃない。


配信がない……なので、宅配レンタルが最も確実な視聴手段。
※初回定額プラン登録の場合。

 

2.恋のツキをケアマネ視点で観る安定の日常か、抗いがたいきらめきか

ワコの目の前にある二人の男性は、人生における選択肢の象徴。

一方は、マンネリ化しつつも安心感のあるふうくん。彼との生活は、守るべき大切にすべきもの、すなわち社会的な体裁と将来の安定を意味します。

もう一方は、抗いがたい魅力を放つ伊古くん。彼は、ワコが心から欲しいと願うもの、すなわち情熱とときめき、そして自己の承認を体現しています。

どちらか一方しか選べないはずなのに、それを両方手に入れられそうになった時、人はどうするのか。

ワコはこの、一方しか選べないのに両方欲しい、という矛盾に苦しむことになます。

この切実な心理描写……ダメな人は受け付けないでしょう。

でも、共感できてしまう人はめちゃめちゃわかってしまう。それはまるで追体験しているかのよう。

選ぶということ、いつもしていること、だけど、ひどく重たいくもあって……。
選択、をテーマにした別の作品もあります。


3.【まとめ】迷いこそ、生きる者の純粋な尊厳

今作は、ワコが心から望む生き方を選択するまでの物語。

それは、人生におけるあらゆる不可逆的な選択に直面する全ての人達にとって身近な出来事のはず。
皆、悩んで・迷って生きているのです。人生は迷うもの。いや、迷いこそ人生……。

さらっとした恋愛ものに見えて、案外色んな事を考えるきっかけになるドラマです。

恋のツキ、こんな人におすすめ!
・普通の恋愛ドラマに飽き飽きしている方。
・危うい恋愛にドキドキする方。
・もどかしい選択に悶えたい方。

夕璃
夕璃

人生の色んな局面で迷っている方、今作に触れ、迷いながらも選ぶ、ということの尊さを再認識してはいかがでしょうか?

恋のツキ を見てみたい方へ。
※初回30日間は定額プランが無料。

恋のツキ をお手元に置いておきたい方へ

迷いのない職場に巡り合いたい方へ

この記事を書いた人
夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
▼ 詳しいプロフィールは以下。▼

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