
サムネの木村拓哉さんが怖そうで……少し躊躇しながら見始めた今作。
でも、教場はただ恐ろしいだけの警察ドラマではありませんでした。
キムタクさん演じる風間公親の鋭すぎる観察眼は、もしやモニタリングなのか……?
ドラマ【教場Ⅰ・Ⅱ】あらすじ(物語の概要)
神奈川県警警察学校に、一人の男が赴任してきた。彼の名は風間公親。白髪交じりの初老に近い男性、そのサングラスの下の右目は義眼……。言いようのない鋭さをまとった風間は「警察学校は、警察官として適性のない者をふるいにかける場」と生徒達に言い放つ。実際、彼は常に退校届を持ち歩き、適性がない、と判断した者に対しては躊躇なく突きつけていく。
震えあがる生徒達、一方で生徒達の人となりは実に多彩。警察官を目指している、という共通項はありつつも、今の時代を象徴するように多様な生徒達、彼ら・彼女らに相対する風間……。
風間と生徒達の張りつめた、濃厚な半年が幕を開ける……。
1. 教場 をケアマネ視点で視る:風間公親の観察眼とモニタリング
今作のポイントは、風間さんの驚異的な観察眼。
彼は冷徹な教官として生徒達と向き合います。生徒は色々な問題を抱えている者、持て余すような個性を持っている者……と多種多様。
風間は周囲が驚くような鋭さで生徒達の隠れた問題行動を次々と暴いていきます。警察学校の教官とケアマネ……到底交わらなさそうな存在ですが、一つ、共通する部分があると思います。
それは、ケアマネの重要な業務であるモニタリング、そこで必要な観察眼について、です。
モニタリングとは、利用者さんのご自宅を定期的に訪問して面談させていただくこと、です。もちろん、世間話をしに行くわけではありません。
モニタリングは、ケアマネにとってまさに観察の場なのです。
ケアマネにとってモニタリングがどんなものか、モニタリングの時に何を見ているのか、例をお示ししましょう。
・訪問前、玄関周りの様子、郵便受けの様子(散らかっていないか、郵送物が溜まっていないか)。
・チャイムを押してからの応答時間。
・応答してくださった時の声、様子。
・玄関の様子。整理整頓具合、床に落ちているものなど。
・廊下の様子。
・通してもらった部屋の様子。散らかっていないか、先月とどう変わったか、変わっていないか。
・テーブルの上。食事のあとちゃんと片付けられているか、出したものが出しっぱなしになっていないか。
・壁に掛けてあるものの確認(お薬カレンダーの薬の減り具合、掲示物、カレンダーの書き込み、そもそもカレンダーがちゃんとめくられているか)。
・郵送物(必要な書類をちゃんと処理できているか、確認の必要な物が放置されていないか)。
・ご本人のお話(世間話、体調、サービスの利用状況など当たり障りのないところから入り、生活ぶりを伺う)。
・ケアマネに対してのリアクション(訪問をどう感じているのか)。
挙げればもっと色々あるかもしれません。私もまだまだ未熟、もっと色々見るべき・見れるものがあるのだとも思います。
ケアマネという仕事、よく言われることがあります。
「毎月くるの?」「なにしに来るの?」
「ケアマネさんは月に一度の訪問だけでいいね」
「はんこ貰って帰るだけでしょ」
月に一度来て、話して帰る、ケアマネのモニタリングは一見、そう見えます。
でも実は、色々見ているんです。そこで察知した変化・違和感が利用者さんの生活の安定の維持のためにとても重要なのです。
多分、風間さんはあの鋭すぎる目で、生徒たちをモニタリングしているのです。
生徒の異変に気付きしかるべき対処を取る……うん、風間さんはモニタリングをしています。

・ケアマネは実は色々、利用者さんやご家族のことを見ている。
・変化は生活の場に表れる。
・ケアマネは世間話をして帰るだけではない。
2. 教場をケアマネ視点で観る:キムタク+風間公親の必要性
多分、今作を鑑賞された方はみんなそう感じると思うのですが、もはや風間さんは木村拓哉さん(以下、キムタクさん)以外では考えられません。
風間公親=キムタクさん、なのです。
実はこれ、この感覚を視聴者に与えるのって、すんごいことだと思います。
例えば何かの作品を見ていて「この役はあの方のほうが合う気がするなぁ……」と感じること、あると思います。
もちろん視聴者の主観なのですが、そう思わせるのは、役者さんと役との間に若干のずれ・違和感がある、どいうこと。
風間さんが別の役者さんだったらよかったのに……と感じる人はいないのではないかと思います、多分。
それくらい、風間さん=キムタクさん。
こういうのって、作品の強みの一つだと思います。
その作品とイコールで結びついている役者さん、その役者さんのファンはいわば固定客。
作品の質を担保すると同時に売り上げの予測にすら貢献する……キムタクさん、すごい。
「ゆるさ」が人を支え、「緊張」が人を追い込む。
対照的な二つの作品です。
3.【まとめ】:風間教官の怖さ+木村拓哉さんの魅力
最初は風間教官の眼光に怯えていたはずが、いつしかすっかり魅了されていた私。
風間教官にケアマネ像の一端を見たこともありますが、もう一つのポイントは、キムタクさんの風貌そのものでした。
たまたま同時期に、30年前のキムタクさん主演ドラマ・ラブジェネレーションを観ていました。
30年前のドラマなのに普っ通に大人なキムタクさん、そして教場の中の風間さん……。
変わってないとは言いません。当然、お年は重ねられています。
ただ、その存在感、そして何よりカッコよさはもはやタイムトラベラー……!
ケアマネとしてモニタリングに必要な観察眼を学びつつ、同時にキムタクさんの更新され続ける輝きに圧倒される……。すごい作品です。
教場Ⅰ・Ⅱ、こんな人におすすめ!
・警察学校、というものに興味がある方
・怖い、けど最後は優しいストーリー、なぞ解きを見たい方
・キムタクさんの変わらなさを体感したい方

実は今作、ケアマネ……いや、他者を観察するという仕事に関わる人全てにとって、めちゃくちゃ学びのある作品かも。キムタクさんの眼差しに負けず、一度挑戦してみては?
教場 をお手元に置いておきたい方へ
厳しすぎる環境で自分を成長させたい方へ

4.【追記】:風間公親の物語は、ついに完結へ
この教場シリーズ、ついに最終章となる映画2部作が公開されます!
前編:映画『教場 Reunion』(現在Netflixにて独占配信中)
後編:映画『教場 Requiem』(2026年2月20日(金) 劇場公開)
ドラマ『教場Ⅰ・Ⅱ』、連続ドラマ『風間公親-教場0-』と続いてきた物語、その中で長くテーマであった彼の右目の義眼をめぐる因縁に決着が……?
いよいよ最終局面に入った教場シリーズ、まだ見たことない……という方でも、今から追い始める価値のある作品だと思います。対人援助専門職の方も、そうでない人も、それぞれの場所で風間公親の行く末を見届けませんか?
夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
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