
医療物、だけどなんかのほのぼのする……不思議な感触で私の心に残った作品でした。主人公の境遇を改めて踏まえてみると、ケアマネである私にとっても身近で、無視できない介護離職という問題が見えてきました。
【ドラマ】にじいろカルテ 物語の概要(あらすじ)
都会で救命救急医として働いていた医師・紅野真空(高畑充希)は激務の中で倒れ、難病である多発性筋炎と診断されてしまいます。突然のキャリア断絶と自身の病に呆然自失としていた真空は医師としての働き口を求め、病気のことを隠し山間の田舎・虹ノ村の診療所の医師となります。
期待と不安を抱えて向かった新たな職場、そして住まいとなる虹ノ村は、豊かな自然と温かな村民、そして個性豊かな先任の外科医・浅黄朔(井浦新)と看護師・蒼山太陽(北村匠海)と寝食を共にするかわいらしい家と診療所……まるで絵本のような世界。
真空は温かい住民と仲間達とともに周囲の病気や患者、そして自身の病と向き合っていく……。
1.にじいろカルテ をケアマネが観る:おとぎ話×医療ドラマ
このドラマは、現代の寓話です。
山間の村、真空、太陽、朔という三人、住まいと同一の診療所、優しくユーモラスな住民達……リアリティからは程遠い、でも肌馴染みのいい設定。
特に人間関係。真空、太陽、朔の三人の共同生活……実際には三角関係的なあれこれが生じやすい環境。しかし彼らの間に生じるのは、奇跡のような信頼関係・友情。
でも描かれているエピソードにはちゃんとリアリティがあるのがドラマの特徴。
例えば……
・第3話:若年性認知症:すぐに忘れてしまう妻を支える夫と、友人達。
・第4話:トリアージ:自分は大丈夫、という患者についての失敗を引きずる医師。
・第6話:義理の親子?血は繋がっていない、けど親子でい続ける関係。
リアリティがない夢のような設定、だけど、その中で起きる事件はちゃんと描いている……ほっこり見れるけどちゃんと考えさせられる、という稀有な作品なのです。
リアルすぎる産婦人科を描いたもの、コメディタッチでターミナルケアを描いたもの……どこか今作と通じる作品です。
2.にじいろカルテ をケアマネ視点で見る:介護離職への対応
真空は多発性筋炎という難病により救命救急医としてのキャリアを失っています。
せっかくお医者さんになって憧れの仕事についたのにその場を離れなければならない……。真空が虹ノ村に来るきっかけになったのは、キャリアの断絶です。
キャリアの断絶……それは介護の世界だって無縁でありません。
いわゆる介護離職が問題になって久しいですが、ご家族が介護をしつつ仕事をするって、そう簡単ではありません。
事例で考えてみましょう。
Aさん事例:仲良し親子と介護離職
・Aさんは活動的な性格で、もともと地域の活動の一環でお年寄り向けの地域サロンの運営に携わっていた。
・娘のBさんは隣県に嫁いでいる。子育てもひと段落して、今は長らく続けてきた仕事に打ち込んでいる。
・ここ最近、Aさんに認知症の症状が現れ始めた。
・日々の生活すべてに介助がいる、という訳でもないけど、一人だと転倒とか、人間関係のトラブルとか、そういったもののリスクが高い。
・BさんはAさんのケアマネとも面談を重ね、色々な社会資源の導入を試みた。
・Aさんは、自分は支援する側だ、というプライドがあり、支援を受けることに対して消極的。
・BさんはAさんを放っておけず、かといって日々通うこともままならず、仕事を辞めてAさんとの同居に踏み切った。
・Bさんには、「母親のお世話を他人に任せるなんて……」という不安感、責任感がある。
もちろん、架空の事例です。でも、実際、近いケースを担当していたこともあります。
こういうケースの一番難しいところは、身内の支援は受け入れるけど他者の支援は拒絶する、というご本人。
ここを以下に切り崩すか、いかに社会資源に繋げるか、がケアマネにもっとも求められること。
これ! という解決策はありません。ただ、私が実務の中で感じているポイントは以下の通り。
・ご本人の感じている、でも言葉にできない困りごとを一つでも見つけ出すこと。
・プライベートに近い感覚で関りを持ち始めてくれる支援者とのマッチング。
この二つがめちゃめちゃ重要。
この人は私のことを分かってくれる、という実感と、自分が支援される側に回ったんだ、という実感を極力抑える、この二つが定期的な支援の導入には有効です。
社会資源に繋げることができれば、家族が離職をして人生を介護に全振りしなければならない、という事態も避けられるかもしれません。
こう思うと、ケアマネの責任って、大きいですね……。

・家族にだって人生がある。
・支援する側は、されることに慣れていない。
・使える物は、使っちゃおう!
病を抱えながらも、新しい居場所で生きる真空の物語を今すぐ。
3.【まとめ】介護が明るいライフイベントになれれば。
このドラマは、よくある医療ドラマのような緊迫感は抑え目で、のんびりスローライフっぽいテイストの中でちゃんと医療色も持ち合わせている、なかなかバランスのいいドラマです。
そんな中で真空のキャリアの断絶から介護離職についても考えられたり……と、奥深さもあるドラマ。
真空は確かにキャリアを失いましたが、新しい環境で素晴らしいステップを迎えることができます。
離職は防ぎつつ、介護というライフイベントが介護者の方にとって有用な物になれれば……こんなに嬉しいことはない、ですよね?
そういうお手伝いもできればいいなぁ、と思いました。
にじいろカルテ こんな人におすすめ!
・田舎を舞台にしたドラマが観たい方
・ドラマを見てまで嫌な気持ちになりたくない方
・後悔してしまいそうな決断した方

もはや癒し系とすら言ってしまえる今作、仕事に、プライベートに疲れちゃった方とかにもきっと効くと思います!
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にじいろカルテ を何度も見たい方へ
コミックでも見たい方へ
夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
▼ 詳しいプロフィールは以下。▼





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