きょうのできごと a day on the planet×普通:日常を支えるモブ。

夕璃
夕璃

今作との出会いは……確か、まだレンタル屋があちこちにあった頃。
この作品は、事件も盛り上がりもない、静かな一夜だけの物語。
なのに、何か、何かが心に引っ掛かるような感触があって、ディスクを購入。
今見返してみると、普通な日常の大切さ、その裏側にあるものを思い返させてくれました。

映画きょうのできごと a day on the planet 物語の概要

京都の大学院に進学する正道(柏原収史)の引越祝い、正道の友達である中沢(妻夫木聡)は恋人の真紀(田中麗奈)、親友のけいと(伊藤歩)をつれて正道の住むいい感じの古民家にやってきた。正道の家にはすでに彼の大学の友達・西山(三浦誠己)と坂本(石野敦士)、後輩のかわち(松尾敏伸)がいて、友達、初対面ごちゃ混ぜの飲み会が始まる。

一方、同じ日、同じ夜には壁に挟まった男(大倉孝二)、浜辺に打ち上げられたクジラを発見した女子高生(派谷恵美)もいた。


これはある寒い冬の夜にいた普通の人達の、きょうのできごと。

 

1.きょうのできごと a day on the planet をケアマネ視点で見る:普通の高齢者の方、普通を支える存在

今作はその名の通り、その日にいた人々のその日あった出来事を中心に描いています。
ある寒い冬の一日のできごと、れがこの映画ほぼ全て

ケアマネの視点から見ると、この何気ない一日って、大切なんだなぁ、としみじみ感じます。
それは積み上げられた安全の結晶、だから。

皆さんが見ているだろう、普通(初期の認知症)の高齢者・Aさんの一日を見てみましょう。

7:00 起床、ヘルパーさんが買ってきてくれていたロールパンを食べて新聞を読む。
8:30 ヘルパーさん訪問。朝食後薬の確認、荷物の用意、排泄のチェック、更衣の見守り。
9:00 デイのお迎え到着。ヘルパーさんが見送ってくれる。
日中 デイでお風呂に入り昼食、午後はリハビリや体操をしてレクリエーション、おやつ。
17:00 帰宅。ヘルパーさんが来てくれて、数日分の買い物をしてくれて、夕食のセッティングをしてくれる。
20:00 好きなテレビをみる。
22:00 就寝。

皆さんが街中でAさんを見かけても、気にも留めないでしょう。Aさんはその他大勢のお年寄りだからです。

ただ、私が伝えたいのはAさんがモブでいる・い続けるためには、福祉職の尽力が根底にある、ということ。

私達は利用者さんの普通の暮らしを目指して日々、頑張っています。
日々の生活がつつがなく……今日も明日も……そしてAさんが社会にとっての普通の一部であり続けること……それが私達の目標なのです。

映画 きょうのできごと のイメージ図。にぎやかな飲み会の後の静寂。
騒がしい飲み会、そのあともそれぞれの人生は続いていく。Image by 夕璃

ケアマネ・夕璃の思ったこと
・日々は流れていく。
・皆、普通に生きている。
・作り上げられている普通だってある。

配信がない……なので、宅配レンタルが最も確実な視聴手段。
※初回30日間は定額プランが無料。

2. きょうのできごと a day on the planet をケアマネが観る:モブが主役になる時

この先の舞台になった夜に起きるのは次のようなこと。

・大学生たちの飲み会。
・ビルとビルに挟まれた男と、それを助けようとする消防隊。
・海辺に打ち上げられたクジラと、それを発見した女子高生。

彼らもまた、Aさんのような社会に生きる普通の人々。いわゆる、モブ

同じ時に生きて、それぞれの人生を生きています。

それでもカメラが寄ればちゃんと物語があります。
彼らは、みんなは同じこの星に生きていて、どこか遠くで繋がっていて、その物語が交わって……

今作はモブたちの何気ない一日にぐぐっと近づいて、それを俯瞰しながら緩いつながりを楽しめる映画。

正直、大きな事件も出来事もカタルシスもありません。

でも、普通に生きているということの尊さ、楽しさを振り返られる、かもしれない作品です。

誰かの日常を支える誰か、何気ない日常を描くこと……。
今作と通ずるものを含んだ作品です。

3.【まとめ】みんなモブで、みんな主役。

今作を改めて振り返ってみて、以下のことに気が付きました。

・日常は誰かに支えられている、のかもしれない。
・そして、支えている人もまた人生の主役。

Aさんも、それを支える福祉職のみんなも、モブであり、また同時に、その人生の主役なのです。

そして同じ社会、同じ星に生きていて、距離の遠近はあれどこかで繋がっている。

雰囲気系の作品ではありますが、ゆるっとした気持ちで見つつ、独りぼっちじゃないということを再確認させてくれる、とてもハートフルな作品なんだと気が付きました。

きょうのできごと、こんな人におすすめ!
・関西弁が心地いい方
・ゆるふわな雰囲気系映画が好きな方
・集団の中の自分、について考えてみたい方

夕璃
夕璃

全編、温かみのある関西弁で語られる今作。
しばらく会っていない友達に会うような、そんな心持ちで一度、触れてみてほしい作品です。

配信がない今作……宅配レンタルが最も確実な視聴手段。
※初回30日間は定額プランが無料。

きょうのできごと をリピートしたい方へ

原作を読んでみたい方へ

今の職場に繋がりを感じられない方

この記事を書いた人
夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
▼ 詳しいプロフィールは以下。▼

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