
名作と呼ばれる今作……初見はもうずいぶん前。その時は、正直なところ、特別心に残ることもなく……。
ところがある時、なんとなく見た所、ぐさっときました。そして今、ケアマネとなって改めて向き合うと、また違うものが見えてきました。見えてきたのです。
【映画】ダークナイト 物語の概要(あらすじ)
バットマンことブルース・ウェインが犯罪撲滅を目指し活躍するゴッサムシティ。そこに唐突に表れたのはピエロのようなメイクをした謎の男、ジョーカー。
バットマンを含む街の人々を嘲笑しながら犯罪を重ねていくジョーカー。仲間と協力してなんとかジョーカーを捕えたバットマンだったが、ジョーカーは部下の腹部に縫い込んでいた時限爆弾を爆破させるという驚愕の方法で逃亡する。
逃亡のさなか、バットマンの仲間を悪の道に陥れるジョーカー。ショーカーは人間の暗部をバットマンに突き付ける。その時、バットマンは何を感じるのか。そしてバットマンはジョーカーを倒せるのか。
1. ダークナイトをケアマネ視点で視る:ケアマネが汚れ役になる時
ケアマネと利用者さんの関係の基本は信頼関係。
利用者さんは自身の困りごとという、弱みを打ち明ける場面も多々あります。
そんなこと、気の置けない人、信じられない人にしか言えません。
利用者さんの困りごと・ニーズを把握するため、ケアマネにとって利用者さんとの信頼関係は何より重要なのです。
そういった意味ではケアマネはダークナイトにはなり得ない仕事だと思います。
でも、例外はあるんです。例えば……
中度認知症のAさんの場合。
・独居、男性のAさん。生まれ育った家庭の貧しさもあり、不安定な仕事を転々としつつ生活されてきた。
・結婚歴はなく、頼れる親類もいない。
・一人で生きていくしかない、という覚悟で暮らしてきたAさん、認知症があり、日々の安全な生活のためにはヘルパーさんの訪問が必須。
・そんな中、Aさんの言動が支援の課題に。
・それは、「財布がなくなった! ヘルパーさんが持って行ったに違いない!」というもの……。
・実際はAさんが財布をどこかにしまい込んでしまい、その場所を、いや、しまったことそのものを忘れてしまっているのですが、Aさんにとってヘルパーさんが犯人になってしまっています。
こういうケース、あるあるです。そして最も課題が大きい。
つまり、支援が必要なのに、支援が入らない、という構造になってしまうのです。
そこで、仮想敵を作り、Aさんの懸念を全部そこに集める、という方法が有効な場合があります。
そういう時は、ケアマネが適任。最悪、一か月に一度、顔を合わせるだけな支援者だからです。
・Aさん「また財布がない!」
・ヘルパー「あら、ケアマネさんがどこかに片付けたのかしら?」
・Aさん「○○さんが?! もう!」
とまぁ、こんな感じで、その場にいないケアマネを仮想敵にすることで、ヘルパーさんの活動がスムーズになる、可能性はあります。
まぁ、生活に必要な生活管理、ケアマネの一か月に一度の訪問の安定した実施、にはもうひと工夫必要ですが……。
利用者さんの生活の安定という大義のため、自分自身が汚れ役を引き受ける場合、ケアマネは初めてダークナイトになれるのかも……?

・認知症は治すことが難しい。
・問題にその都度対処するしかない。
・そういう時こそ、ケアマネが一肌脱げるかも?
真の正義とは何か? という重たい問いかけを体験する。
2. ダークナイトをケアマネ視点で観る:ジョーカーとは何者なのか。
この作品の魅力の核は、ジョーカーの超絶的な極悪人ぶり。
ジョーカーは普通の悪役とは一線を画しています。彼は、何も求めていません。せっかく奪い取った大金を燃やしてしまったり……。
ジョーカーはまさに理の外にいます。
得るものもなく人を殺し、街を破壊するジョーカー、その思考の根底には何があるのでしょうか。
それを考えるきっかけになるセリフがあります。
「混沌の根源は何だと思う? 公平だ」
「お前(バットマン)がいなけりゃケチな泥棒に逆戻り。お前が欠けたら生きていけない」
彼はバットマンに、正義のヒーローとしての存在意義を問いかける存在。
光があるから闇がある、バットマンがいるからジョーカーがいる……これはバットマンにとって決定的なジレンマ。
この認めざるを得ない現実を前に、バットマンはダークナイトへと変貌するのです。
ダークナイトになることを決意したバットマンは本当の、本物のヒーローになった……よう思います。
そう思うと、ジョーカーはヒーローを生み出すための必要悪だったのか……とも思えます。
理解不能な存在、同情すべき敵……。
物語に立ちはだかる敵の魅力にあふれた作品です。
3. 【まとめ】ダークナイト、その中身
私達がいる介護の現場、そしてバットマンやジョーカーがいるゴッサムシティ……到底交わらなさそうな二つの世界、それでも共通するものがあります。
それは、綺麗事だけでは済まない、ということ。
ケアマネだって、バットマンだって、白馬の騎士でいたい!
でも、汚れ役、憎まれ役にならないといけない時だってあります……それは、守るべきものを守らなければならない時。
憎しみを集める存在だったとしても、その中は正義の騎士……そんな、陰に隠れたヒーローはきっとあなたの側にもいるんだと思います。
ダークナイト、こんな人におすすめ!
・スーパーパワーに基づいたヒーローものに飽き飽きている方。
・魅力的なヴィランが好きな方。
・本当の強さ、について考えてみたい方。

この映画は、単なるヒーローものではありません。
正さのために自らを犠牲にする、本当のヒーローを描いています。
自分の正しさに不安を感じる時、刺さる作品かも……?
ダークナイト を今すぐ見たい方へ。
ダークナイト を手元に置いておきたい方へ
本当の支援者になれる場所を探している方へ

夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
▼ 詳しいプロフィールは以下。▼





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