
もはや初見の記憶はありません。
一度見て心を射抜かれました。今作のキャッチコピーは『凶暴な純愛』ですが、これ、本当に秀逸。だって、そのままの内容なんだもん。
出会ってもう何十年、改めて見てもなお、新しい発見がありました。
【映画】LEON レオン のあらすじ(物語の概要)
ニューヨークの片隅。レオンはきっちり仕事をし、ミルクを飲み、観葉植物を愛する殺し屋。身寄りもなく、黙々と同じ日々を繰り返している。
隣室に住むマチルダは12歳。麻薬取引を生業とする父親とその継母、異母姉とも不仲だったが、家の中でたった一人、幼い弟だけを愛している。
父親が組織の制裁を受けたことでマチルダは家族を失う。愛していた弟までも……。
ひょんなことからマチルダを匿うことになったレオン、二人の奇妙な共同生活は互いを補い合うようで、次第に心を通い合わせていくようになる。
しかし、その平穏も長く続くことはなく……。
1.LEON レオンをケアマネ視点で視る:孤独が繋ぐピア的な関係+私の個人的体験
今更言うまでもない名作中の名作。
今まではレオンの可愛さだったり、マチルダの背伸びした少女感にメロメロだったわけですが、今回見返して、ふと思いました。
レオンとマチルダの関係って、もしかしてピア、なんじゃない?
ピアとは、『「同じような立場の人によるサポート」といった意味で用いられる言葉である』とのこと(出典:Wikipedia:ピアサポート)。
ピアって、支援する側が、支援を通して癒される……という、いわば理想の支援の形、ではないでしょうか。
レオンは終わりない孤独を、マチルダもまた始まってしまったばかりの孤独の中で生きています。
たまたま同じアパートという偶然の中、孤独という一点を分かち合う、何もかも違う二人。
ストーリーが進んでいく中で、二人はそれぞれが生きる意味となっていきます。
レオンは失っていた生きる意味を取り戻し、マチルダは初めて、生きる意味を見出す……。
ピアサポートって、とくに精神障害分野でよく聞く言葉かなと思います。実践が進んでいるのもそういった方面なのかなぁと思ったり。
しかし、ピアって、継続が難しそうです。まぁ、当然といえば当然。双方が支援を必要とする可能性がある存在なのですから。
ピアは、多分、絶妙で奇跡的なバランスの上に成り立っているんだと思います。
思えば、私にも似たような瞬間の記憶があります。
ご利用者さんは生活が苦しい方でした。生活を送るためには色々な支援が必要で、私も色々とお手伝いをさせていただきました。
どういう訳かその方に対して私は特別な親近感を抱いていて(馬が合う、というのが一番しっくりくる表現)、大変な手間を取られつつも、徒労感を覚えることもなく関わらせてもらっていました。
ある時、「夕璃さん、あんた、○○(当時一世風靡していた韓国の俳優さん)に似てるね」と言って笑ってくださいました。
私も笑って、笑いつつ、なんだか癒されたのでした。
私とその方は年齢も生活も何もかも違いましたが、人間であること、完璧ではないこと、という意味で同じ立場だった、とも言えます。
もちろん、厳密な意味のピア(同じ立場の当事者同士)とは少し違うと思います。
でも、不完全な人間の関わりであった、という意味では、あの瞬間の私はあの方は、ピアサポートの関係だったのかも……?
素人の私が言うのもおこがましいですが、ピアって、それぞれにとってちょうどいいバランスで支援と負担があり、それが相互作用で双方をつないでいる……のではないでしょうか。
レオンとマチルダにはそんな奇跡が起こっていたんじゃないのか……今回改めて見てみて、そう感じました。
・ピアサポートって、難しい。
・でも、足元を見れば支援者だって、要支援者かも。
・補い合えれば、いいね。
2.LEON レオンをケアマネが観る:その甘美さ、その中身、その理由
レオン、かぁいいですよね。尊い。かぁわいい。
そしてマチルダのあのぐぅっ、と背伸びをしている感じの少女像。その危うさを含めて、リスキーなキャラクターではありますが、であるが故に心に刺さる存在感があります。
おそらく、多くの方が今作の魅力と感じているのは、レオンとマチルダの日常のシーン。
レオンが暮らしの(彼なりの)ルールを伝えたり、仕事のやり方を教えたり、一方でマチルダが読み書きを教えてあげたり、クイズを出したり……。
そして、二人のささやかで温かな暮らしの舞台となったレオンのアパートの室内のおしゃれさ、可愛さ、温かさが、最後の戦闘シーンの切なさ、息苦しさに繋がっていく辺りの構成も秀逸……。
また、これ、レオンとマチルダの年齢差がまた絶妙。中年のおじさんと少女。無い、普通に考えて無い、そういう設定、ビジュアル。
だから、長続きしないだろうなぁ、この甘い時期は限定的なんだろうなぁ、と視聴者の無意識に伝わっていく。
その一時性・限定性が、物語への没入感、甘美さに、破滅に向かっていくことへの納得感と安心感を担保している……気がします。
人はハッピーエンドを喜ばしく思うもの。でも、終わってしまう、続かないけど輝くもの、に対して魅力を感じてしまうものでもあります。
今作の甘さは、いわば約束された破滅、にあるのではないでしょうか。
人は、壊れていくもの、消えていくものに美しさを感じてしまうもの、かも。
狂気に満ちた美しい破滅、一人死に場所を求めてたどり着いた破滅、今作とはまた別の破滅を描いた産品もレビューしています。
3.【まとめ】たぶん、私たちは一人じゃない
今作は、レオンとマチルダの儚くも尊い関係が破滅するのを楽しむ映画、とも言える気がします。
当初はレオンがマチルダを一方的に守っているのですが、やがてレオンもマチルダによってその人生を意味づけられ、そんな二人が共に生きようと願う……この世界にあって一瞬の奇跡のような物語。
この仕事をしていてよく思うのですが、支援をする側、受ける側、という関係は全然固定的ではないということ。
いつ、誰が、どういうタイミングで立場が逆転するとも限りません。
これは私の個人的感想なんですが、強く、自分の力で生きてきた、生き抜いてきた方ほど、支援を求められない傾向にあると思います。
もっと言えば、絶対必要な支援すら振り払われることも多い。
私達はいつでも、どんな形でも、その大小はあれ、誰かの支援の中で生きているということを今一度知っておくべきかなと思います。
私達は一人じゃないのです、多分。

色んな魅力が詰まった本作。
昔見て感動した覚えがある方、全然知らない方……公開されて32年(2026年現在)ですが、今でも全然色あせていません。
ぜひ、映画史に輝くマスターピースに触れてみてください。
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夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
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