
名作と呼ばれる今作、最初に観たのは二回りほど前でした。その時は、正直なところ、特別心に残ることもありませんでした。
ところが一回り前に観返したとき、物語は思いがけず深く刺さりました。そして今、ケアマネとなって改めて向き合うと、善悪を問い、信頼と裏切りの間で揺れる倫理が、自分自身の仕事と重なって見えてきたのです。
ドラマ【ダークナイト】物語の概要
バットマンことブルース・ウェインが犯罪撲滅を目指し活躍するゴッサムシティ。そこに唐突に表れたのはピエロのようなメイクをした謎の男、ジョーカー。
バットマンを含む街の人々を嘲笑しながら犯罪を重ねていくジョーカー。仲間と協力してなんとかジョーカーを捕えたバットマンだったが、ジョーカーは部下の腹部に縫い込んでいた時限爆弾を爆破させるという驚愕の方法で逃亡する。
逃亡のさなか、バットマンの仲間を悪の道に陥れるジョーカー。ショーカーは人間の暗部をバットマンに突き付ける。その時、バットマンは何を感じるのか。そしてバットマンはジョーカーを倒せるのか。
1. 【ケアマネ的視点】『信頼関係』と『憎まれ役』— 専門職が抱える倫理のジレンマ
ケアマネと利用者さんの関係の基本は信頼関係。利用者さんは自身の困りごとという、いわば弱みを打ち明ける場面も多々あります。そんなこと、気を置けない人、信じられない人に言えませんよね。利用者さんの困りごと・ニーズを把握するため、ケアマネにとって利用者さんとの信頼関係は何より重要なのです。
そういった意味ではケアマネはダークナイトにはなり得ない仕事だと思います。
ただ、例外があります。例えば認知症で被害妄想が強い利用者さんの場合、あえて憎まれ役を買ってることで支援全体がスムーズになる場合があります。ケアマネが特定の敵になっておくことで、何かトラブルがあった際に「困ったね、きっとケアマネのせいだね」と支援者が統一して対応することができます。そうすることで他の支援者に敵意が向かず、結果支援がスムーズに入ることができる。ということです。
こうした、利用者さんの生活の安定という大義のため、自分自身が汚れ役を引き受ける場合、ケアマネは初めてダークナイトのような孤独な役割を担えるのかもしれません。【ダークナイト ケアマネ】

ダークナイトとしての役割に心折れそうな方、本家のダークナイトを見て勇気をもらいましょ!
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2. 【小説家志望として】ジョーカーはなぜ『理の外』にいるのか— 『人間の暗部』を抽出する悪意の純度
やはりこの作品の魅力の核は、ジョーカーの超絶的な極悪人ぶりです。ジョーカーは普通の悪役とは一線を画しています。名声やお金に一切関心がありません(せっかく奪い取った大金を燃やしてしまったり……他のギャング達も呆然)。
ジョーカーはまさに理の外にいます。得るものもなく人を殺し、街を破壊するジョーカー、その思考の根底には何があるのでしょうか。それを考えるきっかけになるセリフがあります。
「混沌の根源は何だと思う? 公平だ」
「お前(バットマン)がいなけりゃケチな泥棒に逆戻り。お前が欠けたら生きていけない」
彼はバットマンに、正義のヒーローとしての存在意義を問いかける存在です。光があるから闇がある、バットマンがいるからジョーカーがいる……これはバットマンにとって決定的なジレンマ。その否定したいけど認めざるを得ない問いを前に、バットマンはダークナイトへと変貌するのです。
ジョーカーが魅力的なのは、彼が人間の暗部だけを純粋に抜き出したキャラクターだからではないでしょうか。個人としても、社会の一員としても、普通人間は心の闇を隠して生活しています。そんな物、ないかのように振舞い続ける、それが社会の中の人間です。
普段目を背けているもの、見たくないもの、見るべきではないもの……そういったタブーをまざまざと見せつけてくれる、悪意そのものであるからこそ、人はジョーカーというキャラクターに強く惹かれるのだと思います。【ダークナイト ケアマネ】
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3. 【まとめ】『信頼関係』と『憎まれ役』— 割り切れない闇と大義の倫理
ジョーカーの存在は、人間の中に必ず存在する心の闇を視聴者に突きつけます。ジョーカーを完全に否定できる人なんていないのです。彼は、社会が隠そうとする心のタブーを純粋な形で抜き出す悪意の化身であり、だからこそ、視聴者を惹きつけます。
ケアマネの仕事は、利用者さんとの信頼関係が基本であり、本来は正義の味方であるべき。しかし、利用者さんの生活の安定という大義のため、あえて憎まれ役という孤独な役割を担うこともあります。
今作は、自己の正義に迷いながらも、大義のために汚れ役を引き受けるバットマンの姿を通して、様々な感情、思いを掻き立てる奥深い作品。【ダークナイト ケアマネ】

「正しいことをしているはずなのに、なぜこんなに孤独なんだろう」……こんな風に思ってしまう時、きっとやり切る勇気もくれる作品だと思います。
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