【映画】Trainspotting トレインスポッティング レビュー:希望は今日を生きる土台

夕璃
夕璃

多分、ずっと昔にあの有名なポスターを見たのが出会い。
何かのきっかけで視聴、一気に虜に。
改めて見返してみると、いつも作っているケアプランについてふと考えました。

【映画】Trainspotting トレインスポッティング あらすじ(物語の概要)

スコットランドのエディンバラに暮らす若者・レントンは、ヘロイン依存の仲間達とだらだらと日々を過ごしている。
何度も薬をやめようとするが、結局、逆戻り

荒み切った生活の果て、レントン達はドラッグの金欲しさに犯罪に手を染めるようになってしまう。
ついには警察沙汰となり、逮捕されるレントン。ようやく薬物を断ち、人生を取り戻そうとするが……。

1.Trainspotting トレインスポッティングをケアマネ視点で視る:ケアプランに目標が書かれている理由

今作のどこか退廃的な雰囲気、代えがたい魅力です。

その退廃感の根底には、三つの要因があると思います。

①若さ:若い、二度とない人生の眩しい時期、なのに歩べき道が分からない。

②行き届いた福祉:歩むべき道が分からない、けど暮らせてしまう。

③希望のなさ:日々の暮らしにドラッグがある、だから、今日の繰り返しにはまり込んでしまう。

悪く言えば生温かい社会がドラッグごとレントン達をずるずると明日まで運び続けてくれる、それこそが退廃感の正体だと思います。

もし、レントン達に希望があれば。
「こうなりたい!」というゴールが見えて、そこに至る道が分かっていれば。

レントン達はドラッグに溺れなかったかもしれません。

ケアプランには長期目標・短期目標を定めることとなっています。

詳しくは省略しますが、望む暮らしを実現するために到達すべき大目標と小目標、という構造です。

・望む暮らし:旅行に行きたい。
・長期目標:ひとりで散歩に行ける。
・短期目標:転倒しない。

というように、大きな希望に向け段階的にステップを設定するのです。

レントン達は、望む暮らしがない状況(あるとしても、ドラッグがいつでも買える、というような継続不能な希望)。
だから、目標がない。無いから、ドラッグに手が伸びる……

なんとなく、なんとなーく作っていたケアプラン、改めて今作を見た時、日本に住む高齢の方にだって希望・目標が必要なんだ、と改めて学びました。

どこか明るい雰囲気の中、底抜けの絶望に浸れる今作。
希望と絶望が入り乱れる他の作品にも触れてみてください。

2.Trainspotting トレインスポッティングをケアマネが観る:その中毒性、二つの正体。

特に救いがある訳でもなく、カタルシスがある訳でもなく(まぁ多少はあるかもですが)、言ってしまえば何も後に残らない今作、なのに繰り返し見てしまう、という方も決して少なくないと思います。

いくつか理由はあると思いますが、今作の中毒性の正体①は、絶望的な日々をポップな音楽を包み込んでしまっている点、だと思います。

色々規制があるので直リンクは張りませんが、「トレインスポッティング オープニング」で検索してもらえればその雰囲気は感じてもらえると思います。

そして正体②、あのどうにも救いようのない雰囲気。

特に前半に顕著なのですが、レントン達がドラッグにはまり込んでいく辺りの描写が絶望の底、という雰囲気満載。人生が荒んでいく生々しい感触、その退廃感……。

そしてそれが心地いい

身近ではない、共感もできない、なのにどうしてこんなにも心地いいのでしょうか。

人には破滅願望というものがある、のかもしれません。決して望んではない、だけど、どこか憧れてしまう……そういう、いわばない物ねだりのような願望。

この願望、介護の現場でたまに出くわす、分かっていてもやめられない選択、に通ずるものがあると思います。

愚行権、という言葉があります。読んで字の通り、愚かな行為を行う権利

例えば、到底退院できる状況でもないのに無理やり退院する、とか。

医療者、介護者、家族、みんなが言います。無理、すぐに事故が起きる、きっと後悔する……。

でも、それでも、ひどい結果になったとしても、人にはそれを実行する権利があると私は思います。

だって、その人の人生は、その人のものだから。

もちろん、その結果責任を負うのはご自身。周囲に迷惑をかけるでしょう。その悪影響は致命的かもしれません。

それでも、人は清く正しくあるためだけに生きているのではないのです。

あのレントン達の破滅に向かいつつ快感に溺れていく姿に魅力を感じるのは、正しく効率的に生きる大人という自分からはみ出してみたい、という欲望を刺激されるからかも、しれません。

ケアマネ・夕璃の思ったこと
・いきなり問題は解決できない。
・解決のためには、現実的な小さな一歩が大切。
・でもまぁ、ダメダメだって、それはそれでいい。

3.【まとめ】希望は、あるだけでいい、とりあえず。

今回、ひっさしぶりに今作を見て感じたのは、希望の有無と人生の相関性。

・ある場合:人生は段階を踏んで前向きに進んでいく、かも。
・ない場合:人生は平坦で重苦しいものになってしまう、かも。

希望の欠落が若い時期に生じた場合の悲惨さは、今作を見れば十分理解できると思います。

私はケアマネなのでご高齢の方について考えてしまいます。

お年を召した方に希望・目標を聞いても「特にない」と答えられる方がほとんどです。
それは、裏を返せば今が続いてくれればそれが一番、今の平穏を守りたい、ということだと思います。

ただ、希望の欠落に陥っているのが若者だったら。
守りたい今・平穏さえなければ。
今の日本にだって、レントン達が生まれるかも知れません。

私が言うのもなんですが、若い人が現実的な夢をちゃんと見ることができる社会って、その社会の平穏性・継続性の担保にとっても大切なんだなと思いました。

夕璃
夕璃

意味はない、だけどまた見ちゃう……なんとも不思議な今作。
アマプラでは続編のT2しか見れませんが、リンクを置いておきます。
サントラもめちゃおすすめ。

※2026年3月時点。最新の配信状況は公式サイトにてご確認ください。

この記事を書いた人
夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
▼ 詳しいプロフィールは以下。▼

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