
福祉、特に高齢者福祉の仕事をしていると避けられないのが、利用者さんの死。
決して慣れることのない出来事ですが、心の準備はしておくべきだと思います。
今回は、なんか泣いてすっきりしたい! という時、死について考えつつ、ちゃんと泣けるドラマ・映画をご紹介したいと思います。
【ドラマ】春になったら:癌という病気がくれるもの
春になったら のストーリー……
・凄腕の実演販売士・椎名雅彦(木梨憲武)は若くして妻を亡くした。今は助産師の娘・瞳(奈緒)と二人暮らし。
・雅彦は末期のがんであり、余命3か月。「3か月後に死んじゃいます」と告げた冬の夜、瞳は「3か月後に結婚する」と宣言。相手は売れないお笑い芸人……。
・互いに反発しつつも雅彦は「死ぬまでにやりたいこと」、瞳は「結婚までにやりたいこと」のリストを作り、残された時間を共に歩むことに。
・これは生きること、命について考える、父と娘の3ヶ月間の物語。
ターミナル期の父と結婚を控えた娘……もう涙の予感しかしない設定ですが、今作は基本、コメディ。
死に向かいゆく雅彦を描きつつ、くすりと笑える場面も多く、気持ちが重たくなりすぎず見続けられるのがとってもいいポイント。
それでも最終回は涙は必至で、でもちゃんと笑えて……悲しいのに笑ってしまう、不思議な体験が待っています。
終末期、癌……悲しい、ネガティブな印象が付きまといますが、癌で死ぬっていうことは、悪いことばかりでもないんじゃないか、そう思わせてくれるドラマです。
以下の記事では、実際のターミナル期の一般的な流れの紹介を通じて、癌で亡くなることとはどういうことなのか、について考察しています。
【ドラマ】妻、小学生になる。:家族を見送るということ
妻、小学生になる。 のストーリー……
・愛する妻・貴恵(石田ゆり子)を失って10年、失意の底で生きてきた夫の圭介(堤真一)と娘の麻衣(蒔田彩珠)。
・そんな二人の前に現れたのは、『自分は貴恵の生まれ変わりだ』と言い張る見知らぬ小学生・万理華(毎田暖乃)。
・当初は万理華のことを受け入れられなかった二人だったが、やがて彼女が貴恵であると信じるようになる。
・止まっていた時間を取り戻すような日々、親子が行きつく真相とは……。
これまた、設定を見ると涙の予感がしますが、コメディです。
当初はずっと会いたかった貴恵との再会を楽しむ圭介と麻衣ですが、万理華という存在に関わり始めると、物語が新しい展開を見せ始めます。
今作の見どころは万理華役の毎田暖乃さん! 貴恵と万理華を演じ分けておられるのですが、本当にお上手。
毎田さんの演技のためだけでも今作を観る価値があるほど。
終始楽しげな雰囲気のドラマですが、描いているのは大切な家族の死、それとどう向き合うのか、ということ……。
私達は大切な人の死と、大切な人を失った人と、どう向き合うべきなのでしょうか。
以下の記事では、ご家族を見送った方の事例を通じて、支援者がどう関わることができるのか、何ができるのか、について検討しています。
【映画】HANA-BI:生きること、死ぬということ
HANA-BI のストーリー……
・刑事・西には余命いくばくもない妻がいる。幼い娘を失っていた夫婦は静かに暮らしていた。
・西が追うのは拳銃殺人の凶悪犯。
・長年のバディを下半身不随にし、部下を殺した犯人を射殺した西は警察を退職。
・西はヤクザから借金をし、銀行強盗をした上で、妻を連れて旅に出る。
・警察、ヤクザから追われる西と妻の旅は微笑ましく、そして絶望的で……。
言うまでもない、北野武監督の傑作。第54回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した、世界的にも評価の高い作品です。
北野作品らしく、静けさとコミカルさと鮮烈な暴力が混然一体となったテイストですが、そこに感動を持ち込んだ……もはや反則。
この映画の真骨頂は、西夫婦の旅の描写。
一見するとただの夫婦旅行にも見えますが、状況的にも、そして妻の余命を踏まえても、それは帰ることのない、終末に向かう片道の旅なのです。
それは人生も同じ。死に向かって進む一方通行の旅路、その旅路の最終盤、どんな旅にするのか、どう旅を終えるのか、それは人生最大の選択とも言えます。
西と妻の旅の終わり、その瞬間、絶対泣きます。絶対、絶対です。
以下の記事では、二つのターミナルの事例を通じて、いかに死ぬか、いかに生きるか、について考察しています。
【まとめ】泣けることは、心を豊かにすること
コメディタッチのドラマ2つ、シリアスとコミカルと暴力が混然一体となった傑作映画、というラインナップになりました。
テイストは違いますが、泣けることは保証します。
作品を見て泣けてしまうのは、そのストーリーに感情移入をしているから。
いわば色々な人物の人生を追体験しているようなもの。
自身の人生で、自分の出来事で感動し涙が流れる場面って、案外限定的ではないでしょうか。
いい作品に出会い涙を流すことは、他者の人生を取り込んで自分の人生を豊かにすることなんだと思います。
きっと今回ピックアップした作品も、あなたの人生を、そしてあなたが関わる・支援する人達を豊かにしてくれるはず!
自分の、そして利用者さんの人生を豊かにできる職場に出会いたい方へ。

夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
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