【妻、小学生になる。】レビュー:ケアマネが考察する、家族の喪失と再生、寓話を日常へと転換する『表現技術』

 

夕璃
夕璃

見始めた時は、正直期待していませんでした。けれど一話、二話と重ねるうちに、このドラマは案外ずっしり来る作品だと確信するようになりました。
単なるファンタジーでも、気軽なコメディでもない今作。
ご利用者さんの『死』と向き合うケアマネとして、どうしても考えずにはいられないものがありました。

ドラマ【妻、小学生になる。】物語の概要

妻、そして母・貴恵(石田ゆり子)を事故で失って10年、夫の圭介(堤真一)と娘の麻衣( 蒔田彩珠)は失意の中にいた。そこに現れたのは、見知らぬ小学生の少女・白石万理華(毎田暖乃)。彼女は自分こそが貴恵の生まれ変わりだと訴える。最初は信じれない二人だったが、貴恵を思わせる言動、そして貴恵しか知り得ないこと話す万理華に接し、次第に彼女の言葉を信じるようになる。

失われた10年を取り戻すかのように家族の時間をはぐくむ三人、しかしもう一人の生まれ変わり、出雲凛音(當真あみ)との出会いもあり、次第に生まれ変わりの真相に迫っていくことに。

貴恵たち親子、そして万理華がたどり着く結末とは……。【妻、小学生になるケアマネ】

 

1.【ケアマネ的視点】家族の喪失後の人生と悲哀の受容

このドラマのメインの内容は、タイトルが示しているように、亡くなった妻が見知らぬ小学生になって帰ってきたというものです。一見ぶっ飛んだ設定ですが、突き詰めていえば喪失と喪失と再生を描いている、といえます。

大切な家族を失う……ケアマネをしていればそういった場面を避けずにはいられません。ケアマネであれば必ずそういった悲哀に見舞われるご家族さんに出会います。家族の死は、人生でほぼ必ず直面する普遍的な出来事、でありながら普段の生活ではあまり意識しない出来事でもあります。人生に数度もない悲しみに直面しているご家族……ケアマネは、そういったご家族にどう向き合えばいいのか……。

圭介・麻衣の親子は10年前に失った妻・そして母である貴恵がいない空白を抱えたまま暮らしてきました。そこに白石万理華という小学生として貴恵が帰ってくるわけですが、三人は失った10年を取り戻すように交流を深めていきます。

現実ではそんなことはあり得ません。失った家族を失ったままその悲しみを受容し、日常を取り戻していかねばならないわけです。

ケアマネがここで果たすべき役割は、決して悲しみを早く忘れてもらうことではありません。悲哀のプロセスは、残されたご家族が乗り越えるべき大切な時間です。特に、介護者でもあったご家族は、ご本人の死と同時に介護という役割の喪失という二重の喪失に直面しています。それは直面した者にしか分からない大きな大きな喪失。

そんな時、ケアマネはただ寄り添い傾聴する姿勢を保つべき、ではないか、と考えます。離れすぎず、かといって関わらすぎず……手を伸ばせばぎりぎり期届く距離からご家族を見守ることが出来れば……。

正直、御本人が亡くなった時点でケアマネとその契約を終えているので、そう頻繁にご家族と接することはないのですが、例えばお葬式が終った後など、お線香をあげさせていただくにあたって御家族のお話を伺い、共感の態度を示しつつ、生前の楽しい思い出を分かち合う……といった関わりが、できる数少ないことなのではないか、と思います。【妻、小学生になるケアマネ】

夕璃
夕璃

ご家族を失った方の想い……分かったつもりにならないためにも、今作を見てみてはいかがでしょうか。

※2025年12月時点。最新の配信状況は公式サイトにてご確認ください。

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2.【小説家志望として】俳優・毎田暖乃の『驚愕の演技』と日常感の創造

このドラマも最も注目すべきは小学生でありかつ妻である貴恵・万理華を演じた毎田暖乃さんの驚愕の演技。毎田さんは妻・貴恵を小学生・万理華の肉体で演じるという、非常に複雑な表現をさらっと、自然にされています。撮影時なんとおおよそ10歳、とのこと……奇跡、才能の塊、すごすぎる。

毎田さんは、ごく自然に(あまりに自然すぎて簡単そうにすら見える)妻・貴恵を演じておられます。このがんばってる感のない、日常的ですらある所作、言動、所作は死者が小学生となって帰ってくるというとんでもないファンタジーにごく自然なリアリティを付与しています。その日常が死者の帰還という違和感を薄め、日常系コメディにさえ見せつつ、その結末に至った際の視聴者の感情を揺さぶる原動力となっているのです。

このドラマは毎田さんの存在なしにはあり得ません。彼女の演技を見るためだけでも、視聴する価値があります。【妻、小学生になるケアマネ】

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3.【まとめ】喪失と再生の物語が伝える、身近な家族の大切さ

このドラマは死者の帰還というファンタジーとともに家族の喪失という普遍的なテーマを、重すぎない、むしろ日常感のあるコメディとして描ききった非常にまれな作品である、と思います。

その希少性に大きく寄与しているのが妻・貴恵役の毎田さん。非現実的な物語をリアリティあふれるストーリーに昇華させているのは、間違いなく毎田さんです。べた褒めですけど、ホントすごいんです。

毎田さんの衝撃の演技と涙なしでは駆け抜けることのできない感動の最終回をぜひ、見届けてみてください。いや、途中もほのぼのして楽しいですよ。【妻、小学生になるケアマネ】

夕璃
夕璃

毎田さんのすごさはきっと誰しもに伝わるはず。一度その目で確かめてみてください!

※2025年12月時点。最新の配信状況は公式サイトにてご確認ください。

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TBSテレビ「金曜ドラマ『妻、小学生になる。』」
TBSテレビ 金曜ドラマ『妻、小学生になる。』の公式サイトです。

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