
評判の良さは知っていたものの、ビジュアルが好みではなく倦厭していた作品でした。なのに、第一話から思わず涙ぐむ私……。
ただのアニメではない、生きることについて考えさせられる名作だったのです。
【アニメ】王様ランキング 物語の概要(あらすじ)
偉大な王・ボッス王の第一王子として生まれたボッジ。巨人の子供でありながら体は小さく非力なボッジは耳が聞こえず、また優しい性格が災いし、周囲から軽蔑されていた。
そんなボッジは、ある時、カツアゲをされてしまう。しかし心優しいボッジは身ぐるみを全て巻き上げられた挙句、翌日も服をたくさん着込んで現れる。そんなボッジに心動かされたのは、影の一族の末裔・カゲ。
二人が出会い共に歩み出したことで、ボッジ王国を揺るがす大きな騒動が巻き起こるのだが……。
「 #王様ランキング 」コミックス第20巻の見本誌が編集部に到着🎊
— 王様ランキング 公式 (@osama_ranking) September 30, 2025
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1.王様ランキング をケアマネ視点で視る:環境とのミスマッチ
王位を継ぐべき第一王子でありながら、剣すら振れぬほど非力なボッジ。
そんなボッジが出会うのは、カゲ。
カゲは暗殺集団・影の一族の生き残りであり、ただその姿でいるだけで周囲から差別されています。
幼い頃は純粋無垢だった影ですが、言われない差別に心を痛め、社会の陰でひっそり生きざるを得ない環境にいました。
二人は補い合いつつ、ボッジの立派な王になるという夢のためひたむきに頑張るのですが……ケアマネとして注目したいのは、二人の生きづらさの要因。
ボッジは、本当に軽蔑されるべき人物なのでしょうか。
カゲは本当に忌まれるべき存在なのでしょうか。
環境と高齢者、という点で事例を考えてみましょう。
お散歩大好きなAさん。
・Aさんは80代の男性。生まれ育ったのどかな田舎で暮らしていた。
・その地域には社会資源がなく、認知症を患ったAさんの生活は困難さを増していった。
・見かねた娘さんはAさんと同居することに。
・娘さん家族が暮らしているのは大都会の住宅街。
・Aさんの趣味は慣れ親しんだ場所を散歩すること。
・田舎ではみんなAさんを知っており、道に迷っていたとしても家に連れて帰ってくれた。
・しかし今、Aさんが暮らしているのは大都会の一角。
娘さんがお父さんを引き取る……昔ほどではありませんが、あることです。
娘さんとそのご家族のご厚情には頭が下がりますが、環境の変化というのは特に認知症の方にとっては思った以上の負担となる場合もあります。
・Aさんはいつも通り散歩に出かけてしまい、道に迷ったり警察沙汰になったり……。
・子育て・働き盛りの娘さんご家族に常にAさんを見守っている余裕はない。
・お散歩が出来なくなったAさんはふさぎがちになり、デイサービスなどを利用するもお体の動きと認知機能はますます低下。
・苦慮した娘さんは泣く泣くAさんの施設申請をすることになった……。
安全のためには致し方ない決断ですが、娘さんの優しさが活かしきれなかったケースとも言えます。
さて、王様ランキングに戻って考えてみましょう。
ボッジが、例えば耳の聞こえない者だけが住む国の、横暴な王の子として生まれていたら。
カゲが、影の一族が圧倒的マジョリティを占めるコミュニティで生まれていたら。
……Aさんが、なんとか元居た田舎で暮らしていけていれば。
人は他者、そして環境と相互作用しながら暮らしています。
都会に住む御家族が、田舎に住む親御さんを安心して見守れるような……そんな制度・社会資源の実現を願うばかりです。

・田舎には社会資源が少ない。
・田舎と都会では生活が全然違う。
・どこでも安心して暮らせるようになってほしい。
2.王様ランキングをケアマネ視点で観る:補い合う二人
今作は、非力で耳が聞こえない王子・ボッジと、虐げられた影の一族の生き残り・カゲという、二人のバディもの。
二人のバディが本当に素晴らしいのは、二人が助け合っているだけじゃなくて、互いに補い合っている点。
ボッジは手話でしか会話ができず、周囲との間には高く厚い壁があります。
でも、どういうわけかカゲだけは、ボッジの心の声を一瞬で理解できるんです。
カゲは単なる通訳ではなく、ボッジの唯一無二の話し相手。カゲはそばにいるだけでボッジを癒しているのです。
一方、カゲにとってもボッジは唯一無二の存在。
社会の悪意にさらされ、ひっそりと生きるしかなかったカゲは、あまりに素直なボッジに出会うことで、再び外の世界へと踏み出す理由を見出します。
カゲにとってボッジを支えることは、生きる意味そのもの。
二人のパズルのピースがはまったかのような関係……その二人が乗り越える困難さ、そして最終回……。
泣けるんです。ほんと。
全く質感が違うバディもの、誰かとい続けることの難しさ……。
人との繋がりについて、別の角度で描かれた作品です。


3.【まとめ】ひどい、ずるい、そしてありがとう
一見するとほのぼのアニメに見える今作。
でも実は、生きることの困難さ、頑張ることの素晴らしさ、純粋な想いの尊さ……たくさんのキラキラに満ちた作品なのです。
最も心揺さぶられるのは、物語の最終盤。二人が辿り着いた、そして選んだ結末……。
ひどい、ずるい、そして、ありがとう。
そんな言葉がぴったりな最終回、エンドロール前。
この作品は全23話(第一期)となかなかの長丁場ですが、それを経て最終回たどり着く価値があります。
王様ランキング こんな人におすすめ!
・補い合うバディ物を見たい方。
・心洗われるような作品に触れたい方。
・最終回、号泣したい方。

絵がちょっと苦手……という方もいらっしゃるかもですが、とりあえず3話、いや、2話だけでもぜひ見て欲しいです! 絶対、心つかまれるはず!
原作を手元に置いておきたい方へ
まだ見ぬバディに出会いたい方へ

夕璃:介護支援専門員(歴10年以上)
居宅介護支援事業所の管理者として勤務。社会福祉士、精神保健福祉士の資格保有。
小説家になりたくて、某新人賞で二次選考突破。今も挑戦中。
ケアマネとして、福祉、ケア、支援etc…といった視点でドラマ・映画等をレビューしています。
▼ 詳しいプロフィールは以下。▼



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